景気政策入門講座−7 “景気政策“の目標とは

 

 前回投稿で“物生産、市場“に一般的に供給力過剰の状態が有り、それは“不況“の時には明確に拡大すると述べましたが、ではどうするのかと言えば、その他方で一般的に“不況“の時には“金融市場“にも“お金“の流入が減る事は前にも述べましたが、ここで念頭に置いておかなければならないのはやはり以前述べましたように、




■景気政策の目標とは■

“物市場“と“金融市場“は物の作る過程

イ)
お金−生産材料、働く人を雇う−生産−商品を作る−販売する−販売代金

と言う過程を踏み、その間に




ロ)
① 設備投資資金等の積立
② 企業の日常運転資金
③ 雇われた人達の当座使わない部分
④ “富裕層“の人達の余裕資金

等が“金融市場“に流れ、他方借入する 企業、個人等によりそのお金が金融市場から出るという一連の流れがあると言う事を念頭に置いておいてもらいたいと言う事です。



 つまりはこの“物市場−金融市場の連関を正常に機能させる“と言う事が“景気政策“の目標になるという事です。

これは基礎はやはり“物市場“に有ると言うべきであり、金融市場自体が“独立してそれだけで大きくなって行くと言う事は有り得ない“からです。これは一見当たり前の事ですが、見失いがちになるところです。





 では不況の時には物市場では一般的に“供給能力が過剰“言葉を変えれば需要が減ると言う現象が起きることは述べましたが、金融市場ではその“物市場“での不況の状況を元にどういう事が起こるかと言えば、一般的には


① 販売不振からくる資金回収の遅れ
② 上記からくる運転資金の不足
③ それらから影響された働く人達の給与の減少

等から金融市場にはお金が入って来なくなります。



つまりはこの市場体系を円滑に動かしてゆくにはやはりまず“物市場“を円滑にしてゆく事が基本にあるというべきでしょう。





▼物市場の需要供給を合致させる為の前提▼

 
 
 ここで一つ大事な事を述べなければなりません。それは何かと言えば上記のようにまず物市場の需要供給を合致させると言いましたが“単に合致させるだけ“ならば“供給能力“を減らしてもできる事に理屈的にはなりますが、



 一般に“経済政策の目標“は最終的にはそこに居る国民の皆さんの“生活が良くなる“と言う事に連結させなければならないという事です。 

 
 これは最近に於いては大きなスローガンを立てる割には国民の生活が良くならないということも間々有り勝ちであり注意が必要な所ですが、そういう意味では、昭和時代にあった”所得倍増計画”と言う目標は評価は色々有るかもしれませんが解りやすかったといえるかも知れません。



 
 つまりは不況に入る前に動いていた(稼動していた)企業等を“基本的には“稼動させてゆく方向で考えると言う事です。それが無いと失業の大幅な増大となってしまうという事です。これは経済学的用語で言うと“完全雇用水準“を目指す。と言う事になります。

 
 但し、誤った政策が長く続いた場合に於いては修正に多くの過程が必要になる場合もありその場合、一貫した産業政策雇用政策、社会政策が必要になる場合も有りえる事になります。その財源はと問われればOECD等にも指摘されている“国際間の有害な競争“の一つにも思われる“国際間の法人税の税率引下げ競争“を止めさせる事も大きな一つと思われますがこの点に付いては後述したいと思います。








以下次回